Boaring Ant

LEMAIRE EBISU

フランスのファッションブランドLemaireによる日本初のフラッグシップストア「LEMAIRE EBISU」において、庭の設計及び施工を担当した。 この庭は、渋谷川と目黒川に挟まれた敷地周辺の地形から着想を得ている。侵食と堆積を繰り返して形成されたこの地には、現在も起伏が残り、都市にありながら複雑な地形的文脈を内包している。そうした土地の履歴や、それに結びついた植生や文化的痕跡を読み解きながら、クライアントにとって異国であるこの土地への理解を深める対話を重ねつつ、設計を進めた。 モチーフとしたのは、岩が露出する山腹の風景である。イベント利用や歩行性といった機能的な要件にも応えるため、岩を立てるのではなく、伏せて据えることで、鑑賞性と機能性を兼ね備えた石張りへと展開した。中央から外縁にかけて石の密度を徐々に減らし、隙間には苔や草が自然と生え広がるように設え、生態的な遷移を思わせる景色のグラデーションを表現した。 また、家主の意向により敷地内に元からあった木々を活かしつつ、自然と調和する気勢の方向を読み取り、剪定と補植を行うことで、既存樹と新たな植栽がひとつの流れを成すように整えた。地形、時間、植物、人の意志といった複数のレイヤーが静かに交差しながら、風景としての一体感を育んでいる。